Contents
はじめに
最近「教員が足りない」と大騒ぎになっている。
生徒に配布されたプリントで、赤紙が出たこともあるそうだ。
要は、「教員免許がある保護者さんは申し出なさい」と言うものだ。
私も一応免許もちだが、こうした「教員が足りない」現状は自業自得だと考えている。
俵万智に憧れて、現実にラリアット
私が教員を目指したのは「何となく」だった。塾講師をやってるし、取っておけばくいっぱぐれないだろうという思いがあった。
しかも私は面接が大の苦手で、質問を投げかけられると固まる。
多分これは「会話のキャッチボール」を家庭でしてこなかったためだろう。
だから受け答えをしなくてはならない面接が苦手なので、自動的に勤務先が決まるなら楽だと思っていた。
そして俵万智さんが教員の傍ら作家活動していたというので、頑張れば長年の夢もかなえられるだろうという淡い期待があった。
そんなこんなで東洋大の通教を修了し、免許まで取ったのであった。
しかし、現実は甘くなかった。
モンスター、あらわる
実習先にいたのは「この世のお局様をツボに放り込んで速攻熟成させたようなモンスター舌打ちレディー」であった。なにせ、
眉間にしわのよらない日はない。
- こちらを見る時はメンチを切る(ガンを飛ばす)。
- 毎回顔をしかめる。
- 確認しようとするとゴキブリを見るかのような顔をする。
- 口癖は「はぁ?」「バッカじゃないの」。
いや、エヴァのアスカだったら許されるセリフですけど、3次元でやられたらきついっす。
真の敵は次々と
それだけではない。前年の実習で目を輝かせてピュアな空気を振りまいていた生徒が、メンチ切りまくるヤンキーに進化していた。
進学クラスに行くと、授業中はそうでもないのだがやり方は陰湿であった。
私が作ったプリントを踏みつけて、黒い足跡を付けたものを教卓に置いていたんである。しかもご丁寧に、私が来るタイミングを見計らって。
そうした行動を誰かがとっていても、そのクラスは誰一人として諫めるものがいなかったらしい。私の母校は限りなく下品な生徒が集まる魔境となっていた。
だからこそ、半年間の任期を終えたときはホッとしたし、生徒から渡したいものがあると言われてもさっさと帰った。こっちだって命が惜しい。
どうせ私の代わりはいるから
そんな状況を潜り抜けてきてみろ。
とにかく、教員に対するイメージというのは真っ黒通り越してヘドロに茶色と土留め色を混ぜたくらい最悪のものであった。免許状もどこに行ったか忘れた。
身内は「この不景気に仕事があるだけありがたい」と繰り返す。それはまぁわからんでもない。それでも、身体の健康を大きく損ないながら、週に15コマ以上の授業を持ち、他の教師がぶん投げた補講を毎週やり、生徒の相談のために何時間も時間を使う。
その上、冠婚葬祭ですくない給料からガンガンお金が飛んでいく。遠征先には何かしらもっていかなくてはならず、とにかくやりがいもなく、出費だらけの仕事であった。
事情があって仕事を辞めていたとき、Kという人物から教員の誘いがあった。
私も阿呆で、うっかり免許もちであることをしゃべってしまっていた。
そのKと言う人物は、何かにつけて「免許がもったいない」「産休の代わりにくる人がいないんですぅ、未来の生徒がかわいくないんですか」とあおってきた。
正直にいおう。
ハッキリいってどうでもいい。
未来の生徒と言われようが、仕事につかなければ無関係である。
しかも産休にもうすぐで入るのに、後任が来ないんです、と言うが。
それだけ本人がヤバイ性格だから来ないんじゃないかと疑ってしまう。
教員を集めるときに、こうしたやりがいだとか、大変な現状を救うヒーローを求めるような調子をやめていただきたいと切に願っている。
こちらだって人道的な環境であれば行きたい。
朝の7時にとんでいき、夜の7時まで帰れない状況だってツライ。
その上、教員の仕事に加えて「購買のやりとり」だとか「消耗品の在庫確認と発注」とか、自販機トラブルの解消とか、絶対にポカできない作業の多さには参った。
しかも、なぜかマニュアルが作られない。毎回口頭でのやりとりで引き継ぐんである。
教育の周辺に関わる予算までしっかり確保して、雑務を処理する人が出てこないと絶対的に無理だなぁというところだろうか。
まとめ
臨時講師をやって、教員からも生徒からもいじり、いじめの洗礼を受けまくって完全につぶれた。
教員が足りないときはネコナデ声ですり寄ってくるくせに、平気で使いつぶす年配教員の無神経さにあきれて教員の道を完全にやめた。
とにかく、校内に関連する業務は数百人規模なので、どこかでポカすると確実に詰む。数百人昼食が食べられなくなったら暴動が起きる。そんな重責、耐えられなかった。