こんにちは、スガワラユウです。
今回は高校時代に購入し、今もドライブ中のBGMにしている「人間椅子」のアルバムについてお話しします。
私の父親がレッドツェッペリンなどの洋楽マニアで、保育園のときからずっと聞かされてきました。クラスメイトが聴いているはやりの歌を知らないため、よくつまはじきにされていたのですが、マリリンマンソンのアルバムを通じて「ブラックサバス」(黒い安息日)という名前のバンドを知ります。
私が当時住んでいた場所は、マニアックなCDがないような地域ですからブラックサバスのCDもなかなか取り扱いがなく、今のように動画サイトで気軽にみられるものでもなかったのです。ネットが家庭に普及して5年は経っていたのでブラックサバスについて調べているうちに、「和製ブラックサバス」と評される「人間椅子」と言うバンドに出会ったのです。
あの重苦しい歌詞を紡ぎだすマリリンマンソンに影響を与えたブラックサバスとはどんなバンドだろう、その雰囲気を受け継いだ「和製ブラックサバス」とはどんなものなのだろうと考える日々。高校の図書館に行き、「人間椅子」で検索すれば江戸川乱歩の小説が出てくるだけなので読んでは見るものの、早くCDを手に入れたいとうずうずする毎日でした。
Contents
人間椅子デビューアルバムを、地方在住の私が入手したいきさつ
個人商店店主さんが覚えていた、『人間椅子』
「人間椅子」のCDの話をネットで聞いた私は、ツタヤに行って探しましたが当然見つけられません。「客注」という取り寄せサービスをお願いすればよかっただけですが、CDにもそうした制度があるかどうかわからずあきらめて店を出ました。
でも当時の私はあきらめきれず、ある小さな「元レコード屋」に入ってみました。店のガラスに演歌歌手のポスターがべたべた貼ってある店でしたので、こういうロックのCDはないだろう、ダメもとで聞きに行きます。
バンド名を伝えると、店員さんが「そういえば…!」という表情で商品棚の下の引き出しを開けてくれました。そこには私が探していた、「人間椅子」のデビュー作、『人間椅子』がしまわれていました。作務衣を着た長髪メガネのお兄さんと、瞼に黒いアイシャドウを入れた、大柄のねずみ男。カジュアルな格好をしたドラムというものすごく個性的なジャケットが、演歌専門の店においてあるというギャップ。本当におどろきました。
購入した2000年代初めの時点で、10年以上も前の商品在庫を覚えていた店員さんもすごいですが、売れないからと返品せずに在庫ストックにしまってあったので本当に驚きました。商店街にアリがちな「プレミア品だから高く売ってやろう」といったことも言われず、普通にお会計もしてくれたのも好感度が高く、しばらく私はギターの弦やピックなどを買いによく通っていました。
この曲を聴いていた当時のスガワラ
この時は高校生でしたが、親から「学年で1位の成績をとらないと進学させない」と何度も言われていましたので精神的にかなり参っていました。今はネットで予備校の授業が見られたり、いい参考書があふれかえっていますが、20年前当時はネット通販も始まったばかりでした。進路をどうすればいいのか、どうやって勉強していくかということでめちゃくちゃ悩んでいた時期です。
今となっては私のただの思い込みですが、クラスメイトの多くは「今日を楽しむ!今日が一番いい日だ!」と言わんばかりに明るく充実した生活を送っているよう。それに対して私はいつも悩み、打ち明ける友達もいなくて日々ぐるぐる考えているだけ。テレビから流れてくる能天気なポップミュージックを聴くと猛烈にイライラしていました。
そんな時に出会ったヘヴィメタル、ロックには、私と同じようにフラストレーションを抱えた人たちの気持ちがそっくりそのまま表現されていて「これが私の求めていた音楽だ!」とドはまりしました。なかでも「人間椅子」はマリリンマンソンのようなどうにもならない激しい怒りをぶつけるものでなく、風に吹かれて消えてしまう儚い桜や、一人寂しく笑っている鬼のような雰囲気があり、1日に何度も繰り返し聞いていました。
この音楽を聴いているときは、心も穏やかになり、ささくれた感情もなだらかになっていきました。大学受験と言う人生を左右する場面で私を支え続けてくれた思い入れのある1枚です。