東京アラート発動によって赤く染められたレインボーブリッジは、さながら『ヱヴァンゲリヲン』の1シーンのような緊迫感をもたらしましたね。夏と冬で若干色が変わったり、行事に合わせてライトアップの色が変わるレインボーブリッジ。映画では「封鎖できません」と青島が悲痛な叫びをあげますが、実際は違うみたい。しかも映画のロケ地はレインボーブリッジではないんですよ。
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レインボーブリッジの封鎖条件
さて、レインボーブリッジの規制、封鎖条件。大体3つに分かれますが、簡単にいえば「人の生命にかかわる場合」に発動されます。事故が起きれば交通管制室が即座に指示を出し、緊急車両を向かわせます。イベントであれば各関係者に連絡を取って閉鎖手続きがされるでしょうが、緊急時はわりと柔軟に動くようですよ。
条件1要人警護
平成26年4月23日から25日にかけて、アメリカのオバマ元大統領が来日したのは記憶に新しいでしょう。ちょうどそのときに首都高速道路と駅のロッカーが安全対策のためすべて封鎖されました。
SNSを見るとオバマ大統領の日程に合わせていつも使っていた道路が使えず予定に遅れた人、駅のロッカーを使えなくて不便な思いをした人が一定数いたようです。
映画では主人公が奔走して、「レインボーブリッジ、封鎖できません」と叫んでいたくらいですからよほど難しいのだとおもってました。役所や国の機関の思惑ですばやい判断が下せず、あわや犯人を取り逃がすかという緊迫した場面。ひと昔前の頭が固い役人性をよく表していたと思います。
でもよく考えれば、治安のために決裁のハンコがなければ封鎖できないというのはナンセンス。確かに建設にかかわった道路公団や管理をする交通管制室など多くの団体がいますが、非常時は関係者同士で連携して素早く判断・行動しているということですね。
条件2イベント
2015年8月8日に行われた東京湾大華火祭(花火大会)では湾岸エリアの安全を考えて、レインボーブリッジが封鎖されました。地方の大きめな花火大会でもよくあるのですが、会場に入れない人たちが会場周辺の駐車場や小さな道路に車を止めて見物したりします。そうなるとレインボーブリッジを通りながら、ちらっとでも花火を見たいと考える人が出てくるのは当然のこと。事故を避けるため、あらかじめ封鎖しています。
しかし、コミックマーケットのような大規模なイベントではゆりかもめや高速道路を使って会場に向かう人も多くなります。これまで数回コミックマーケットに参加したことがありますが、封鎖されたという話は聞いていません。多くの人の生活に関わることですから、封鎖はごく最小限に抑えられているのです。
条件3事件、事故
レインボーブリッジというとその形が吊り橋ですけど、じつはれっきとした高速道路の一部。道路は上と下に分かれていて、上が高速道路11号台場線で下側は一般道とゆりかもめです。レインボーブリッジ含め首都高速道路全体の状況は、交通管制室の職員が24時間モニターを通じて見守っています。
2018年1月22日に50台もの車が雪で立ち往生し、レインボーブリッジ上に混乱が起きました。このときは東京都港湾局から積雪を理由にレインボーブリッジが封鎖されたこと、迂回して通行してほしい旨アナウンスされました。
走行、通行で危険が生じるとなれば意外とあっさりレインボーブリッジは封鎖されるんですね。
ドラマのロケで使われたのは
映画『踊る大捜査線2』の舞台がレインボーブリッジですから、当然ロケ地はあの7色の吊り橋だと思っていました。芝浦側の橋塔がテレビドラマのロケに使われていた、と『ザ・首都高速道路』で語られているくらいですから。(橋塔は橋のメインケーブルを支える2本の巨大な塔を指す)
ただ、ですよ。これまで見てきた通り、レインボーブリッジは特段の理由がなければ封鎖されません。というかできません。
映画のロケのために何日も止めるなどと言ったら物流関係者は困りますし、映画のファンが現場を見ようと詰めかけるなんてことだって起きますよね。
ということで採用されたのが京都にあるイオンタウン久御山近く、京滋バイパス上の久御山ジャンクションだったのです。
「レインボーブリッジは海の上で、久御山ジャンクションは普通の道路。撮影に使えるの?」と思いました。それで久御山ジャンクション道路上の写真を検索すると、道路の下に海があるのか地面があるのかなど全くわからないんです。
『踊る大捜査線2』はジャンクション開業前という絶妙なタイミングが無ければ完成しなかったか、または大幅に完成が遅れただろうと思っています。多くの運のめぐりあわせで完成できた作品といえますね。
まとめ
レインボーブリッジは要人の来日、事件事故、イベントなどで封鎖することがある。
レインボーブリッジで映画のロケができなかったので、関西でロケを行った。もし少しでも時期がずれていたら、完成にもっと時間がかかっていただろう。
以上、レインボーブリッジについて調べました。人命にかかわる恐れがあれば、封鎖がされるということがわかり意外な気もしました。中央省庁であれば、何かを決めるにしても決裁が必要とされて時間もかかりそうです。しかし、道路というのは日々刻々と状況が変わりますから、スピーディーな判断を求められますものね。
そして映画はレインボーブリッジで撮影しているのだろうとばかり思っていましたが、そうではないということ。これが今回の調べ物での大きな驚き。
レインボーブリッジを(別の意味で)封鎖できないとなったとき、同じような条件の道路でしかもまだ開通していない場所をスタッフはよくぞ見つけました。
こんど映画を見る時は穴のあくほど画面を見て見ようと思います。
参考資料
『ザ・首都高速道路』実業之日本社
『あんな形こんな役割橋の大解剖』岩崎書店
『浜口タカシ写真集レインボーブリッジ』東京新聞出版局