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【翔んで埼玉】魔夜峰央の出身地は埼玉じゃない?

新潟出身

作者の魔夜峰央さんは新潟県新潟市西区黒崎地区に生まれます。ご存じのとおり雪国ですから、どうしても家にいる時間が長くなるということで絵を描いていました。

魔夜さんが高校生の時に漫画を描き始めたのですが、漫画家を目指していたわけではないというのが驚きです。大学を中退する理由として「漫画家」を出しただけと言うのだからすごいですね。新潟県には水島新司さん、高橋留美子さんなどほかにも多くの漫画家さんがいます。

今でこそ『鬼滅の刃』『鋼の錬金術師』の作者が女性であることは知られていますが、少女漫画に男性作家がいるというのはちょっと意外でしょう。魔夜さんが言うには、当時の少年漫画の作画が汚いと感じていた、桑田二郎さんのような色気のある端正な絵柄が好きだったそうです。

魔夜さんが思いえがく美しい世界を表現できる場が少女漫画だ、と無意識のうちに感じ取って少女漫画家としてデビューしたと言えるでしょう。

本名を使わなかった理由

魔夜さんの本名は山田峰央さんといいますが、当初は本名を使いたかったそうです。実は当時の掲載紙『花とゆめ』には山田ミネコさんという有名な作家さんがいたので、そのままだと名前がかぶるというか夫婦か兄弟と勘違いされる可能性があったのでしょう。

そんな理由から名字の山田をひっくり返し、1文字とって「魔夜」というペンネームを誕生させたのでした。オーブリー・ビアズリーの絵に影響を受けたというとおり、魔夜という音には怪しい魅力が感じられますのでネーミングとして大成功だったのではないでしょうか。

ネームは書かず行き当たりばったり

当時魔夜さんは新潟に住んでいて、都内の編集部とはなかなか密に連絡を取れなかったといいます。漫画を描くときネームを書く理由がありまして、

  • コマ割り、1コマ(漫画の四角い枠のこと)にいれるセリフを決める。
  • 話の流れを決める。
  • ラフの段階なので、削るコマや追加するコマの操作が簡単にできる

というメリットがあります。最初はネームを描いていたそうですが、魔夜さんのネームと完成した作品がほぼ同じなので担当編集が見なくなったのです。

普通ネームと言うと簡単な作画で話の大筋をつかむために作るものですが、ネームのクオリティが完成品と同じと言うことを考えると魔夜さんの画力はとんでもないものと言えますね。ネームを書かなくてもなんとかなるそうですが、話の最後になるにつれて、セリフのコマが増えていくから計画性がないと答えていることもありました。

でも推理ものは最期の最後に主人公がすらすらと種明かしをしながら犯人を追い詰めていくパターンが多いですよね。クライマックスに向けてセリフの連続で話がまとまっていくのを見ていると、魔夜さんの2年にわたる読書体験がこうした話の骨組みを育てたと言えるでしょう。

考えていないと言いますが、ブルースリーの「考えるな、感じろ」という境地に達した漫画道といえそうですね。

『翔んで埼玉』を描いたけど…

さて、新潟に住んでいた魔夜さん、あるとき埼玉県に引っ越してきます。そのあたりの経緯は書かれていませんが、新潟と東京でやり取りするのがたいへんだというのもあったのではないですかね。

ちなみに魔夜さんがデビューしたときは宅急便がないので、航空便を送るため新潟空港まで行ったそう。でも編集長の近くに住むということはそれだけプレッシャーもすごくなりますから、魔夜さんも相当苦労されたそうです。

経緯は忘れた魔夜さん

さて、埼玉県民が書いた『翔んで埼玉』ですが、なぜこの漫画を描いたか、掲載紙すら覚えていないといいます。魔夜さん自体記憶力はすさまじい方だと思いますが、あえて「覚えない」のだそう。おそらく仕事に直接関係しないようなことは覚えないでおいて、頭を省エネ化しているのかもしれませんね。

元埼玉県民だからできたいじり

でもインタビューでは「埼玉県民のおおらかさ、自虐性」をそのままネタにしたら面白そうだから書いたとはいっています。そしてそういう自虐を埼玉の人たちが包み込んで笑えること、度量が大きかったからこの作品は出てこれたといえるでしょう。(なお、茨城県民はディスりになかなか寛容になれません)

もちろん魔夜さんは埼玉が嫌いでディスっていたのでなく、空の青さと緑豊かな自然に感激していたといいます。

まとめ

本名は山田峰央さん。でも有名漫画家山田ミネコさんがいたから、紛らわしくないように魔夜峰央にした。

ネームは書かずに漫画を描く。でもそれは2年間徹底的に読書してきたからできることであって、たぶんシロウトにはできることでない。

『翔んで埼玉』はなぜ描いていたのか覚えていないという。でも埼玉県民が「だ埼玉」などと自虐を連発するのをみて、ネタにしたらおもしろそうと考えたのがきっかけと言えるだろう。

以上、『翔んで埼玉』について調べました。

魔夜さんの絵は機械で描いたような正確な線なのに、ナンセンスなギャグばかりという思い出があります。線が神経質なくらいだから、本人も神経質できっちり計算づくで書いているんだろうと思っていたら、結構いきあたりばったりだと聞いて驚いてしまいました。

でも知識を完全に自分の中に落とし込むほど読書したり、泣かせる話を書くために100も200も話のパターンを考えるというのですからすごいもの。おそらく私たちが努力するレベルははるかに超えているのでしょう。

「なにもそんなに難しく考えてませんよ」という魔夜さんですが、言葉の端々にすさまじい努力がちらちら見えている。おそらくご本人はこれを努力だとは思わず、当たり前のように行ってるんでしょう。とりあえず魔夜さんがとんでもないレベルの漫画家さんであることがはっきりしました。

 

参考文献、サイト

https://ddnavi.com/news/277989/a/(ダ・ヴィンチニュース)
『吉田豪のレジェンド漫画家列伝』白夜書房

 

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