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薬屋のひとりごとでわからないこと。「おしろいはどく」と書いてバレた理由

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宮中に下女としてつれてこられた猫猫が、知識をフル活用してもめごとを解決してしまう『薬屋のひとりごと』。

帝の子がつぎつぎと衰弱していく事件の原因をすぐさま見抜いて手紙で知らせる猫猫。

ばれるとめんどくさいから、こっそり知らせたら美人宦官の壬氏にあっさり見破られます。

今回は「壬氏はなにを手がかりにして、猫猫が手紙を出した」とつきとめたか見てみましょう。

Contents

そばかす女=猫猫と知っていた?

玉葉妃がいう、「命の恩人」を探すために動き出した壬氏。

ある日猫猫も含む下女たちを集め、「そこのそばかすの女、お前は居残りだ」と書いて全員に見せます。

猫猫は文字が読めるため、それをみてたじろぎ、壬氏にばれてしまうわけですが…

では壬氏は最初から、手紙を書いたのが猫猫とわかっていたのでしょうか。

結論から言うと、「そこのそばかすの女、お前は居残りだ」と言う文章を見せる前から壬氏はわかっていました。

文字が読めないと伝えてあるのに、ウソがばれたと焦った猫猫の表情。

そして「壬氏の美貌への反応」が明らかに違うことで、すでにお見通しだったのですね。

ではそう考える理由を、次で説明しましょう。

猫猫と壬氏の出会い

ちょっと前後しますが、壬氏がどのように「手紙のさし出し人=猫猫」とわかったのか書いていきましょう。

後宮に流れる「帝の子が次々なくなる=呪いのせいだ」といううわさをもとに、様子を探りにいく猫猫。

吐き気・頭痛・腹痛の症状と、梨花妃の白すぎる顔を見て、「おしろいに鉛が含まれている」と判断します。

普通の家庭に育ったお嬢さんなら見逃しますが、猫猫は遊郭で育ったので鉛の毒は身近なものでした。

面倒ごとにはまきこまれたくないけど、見逃すこともできない猫猫は歩きながら「何か書き物はないか」ぶつぶつつぶやきます。

ちょうど壬氏とすれ違ったのも気づかないくらいですから、もう毒のことで頭がいっぱいだったのでしょうね。

薬屋のひとりごと、「おしろいはどく」と知らせるまで

すれ違ったときはとりたてて壬氏も気に留めておらず、そのまま妃のケンカを止めに行きます。

その後梨花妃の子はなくなり、玉葉妃の子である鈴麗公主(リンリ―ひめ)(注1)は命を取り留めました。

壬氏は2人の妃で何が違うか考え、質問したところ玉葉妃からある「布切れ」を見せられます。

手でさいた布きれに、草の汁を使って書かれた「おしろいはどく、赤子にふれさすな」という文字を見て、壬氏は首をかしげます。

「薬の知識がある医者なら、こんな布切れに書いてよこさないだろう」

「そもそも草の汁で文字を書かないはず」だと。

そうなると手紙をよこしたのは下女?という事になりますが…

壬氏はおそらく文字の書ける下女の中に、こんな筆跡のものはいたろうかと考えたはずです。

そもそも下女たちであれば、たいていは手柄を取り立てられるのを期待して知らせてくるでしょうからわざとたどたどしく書く必要などありません。

「本当は文字がよめるけど、事情があって読めないふりをしている下女がいる」のではないかと考えたとき、

壬氏は先日すれ違った、「そばかす顔の、書き物を気にして歩いている下女」を思い出します。

…が、後宮には妃を含めて2000人もの女性がいるので、一人ずつ探すわけにはいきません。

「顔にそばかすがある」「文字が読めない」「布切れからして服を管理する下女」といった条件を満たしたものたちを集める。

そして「そこのそばかすの女、お前は居残りだ」という文字を書いて見せたら、効率よくふるいにかけられるのではないかと考えたのでしょう。

猫猫は壬氏の作戦にまんまとひっかかり、玉葉妃のところへ連れていかれることになります。

おまけ

文字を見たときの反応もあるでしょうが、壬氏の美貌を「ま~ったく気にせず歩いて行ったそばかすだらけの下女」というので覚えていたのかもしれません。

文字の読めない下女たちを集めたとき、猫猫以外は全員壬氏の美貌にくぎ付けになっていました。

壬氏と一緒に仕事をしている宮官長の女性も、美貌に頬を赤らめていたくらいですから相当な美男ですよね。

それなのに猫猫は「あの顔なら同性の皇帝すらメロメロにできるだろう」といった失礼なことを考えていました…(笑

まわりと違う反応をしていたので、「一人だけ妙に冷静な下女がいる、あいつだ」と一発でバレたのでしょう。

手紙を出したのが、「ぶつぶつつぶやいていたそばかすの下女」であり、「壬氏の美貌を見てもなんとも思わない変な下女」だから壬氏は覚えていたんだとおもいます。

まとめ

これまでの事を簡単にまとめると、

「書き物はないか」とつぶやきながら歩いているときに、壬氏とすれ違う。

壬氏の美貌にうっとりするどころか、存在にまったく気づかずあるいていってしまう。

子供が命を取り留めた玉葉妃から、「服の切れ端に書いた手紙」を見せられる。

よこしてきたのは医者じゃないが、文字の書ける下女でこんな筆跡のものはいない。

書いている内容はまともなのに、手紙の材質が布切れ、草の汁と言うアンバランスさ。

書き物を求めて歩いていく猫猫の様子を思い出すも、効率よく探すために「そばかす顔、文字が読めない、洗濯係」という条件の下女を集める…

という感じです。

しかも壬氏の顔を見てなんにも反応しない下女、という条件もあったでしょう。

でも名前まではわからないし、「そばかす」「小柄な下女」ということ以外は覚えていない。

ということで、同じような条件の下女を部屋に連れてきたことで、「文字が読める」「壬氏の顔を見ても黄色い声をあげない」猫猫をまんまと見つけ出したのではないでしょうか。

 

 

 

(注1)話のなかで、ひめの様子を「蒸したての饅頭のような顔」というくらいですから、彼女が生後3か月の子供と考えるべきでしょうね。

なぜそうなるかというと、「壬氏の人差し指をつかんでいた」「言葉にもならない声を機嫌よく鳴らす」とあったから。

赤ん坊は3か月くらいで、クーとかアーとか意味のない音をだしますので。

また、玉葉妃は鉛入りおしろいを使っておらず、乳母の影響を受けただけなので病状が軽くてすんだと考えたら自然ではないでしょうか。

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  • この記事を書いた人

スガワラ

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