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夫は成長教に入信しているの感想。役に立たなきゃという強迫的なおもい

『夫は成長教に入信している』が最近ひそかに話題ですね。

10年くらい前は個性が大事なんて言われていましたが、みんなで成長を目標にしていく世の中ってちょっと息苦しくなりますね。

成長し続けるのは一見するとすばらしいように思えますが、怖い点もあるんじゃないかと思うんです。

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成長教とはなにか

作中できちんと決まっているわけではないようですが、「ムダな時間をできるだけ減らして、最短の時間で知識をつめこみ伸びていくこと」といえるでしょう。

たしかにIT技術の向上もあって、社会のスピードは速くなっていきます。「自分で学ばないものは取り残されて当たり前」みたいな考えがある現代では、あまり抵抗感なく受け入れられている考え方かもしれません。

ではそれが行きすぎたり、ひとに強要するようになると問題が起きてきます。

成長教はひとごとではない

成長教といいますが、実際の所は「成長しないように見える自分を受け入れられない、成長するために分刻みで活動しなくてはならないという強迫観念」といえるでしょう。

「もっとできるようになりたい、もっと力をのばしたい」という人が成長教に入るのはいいですが、怖いのは「成長しない自分は世間から認められない」「成長しないひとは世間は認めません」というメッセージに変換されたときです。

こういうメッセージが出始めると、いわゆるブラック企業は喜びます。

アットホームな、という言葉で引っかからなくなれば、今度は「成長できる職場」「成長できます」といって広告を出せばやる気に満ち溢れたひとが来るのですから。

つまり、「成長しなきゃ」という思い込みが強すぎて自分自身を置き去りにしていると、人によってはブラック企業にいいようにこき使われたりするわけです。

 

役に立たなきゃ素晴らしくないという強迫観念

子どもが一時期『機関車トーマス』が好きだったのですが、絵本によく出てくるのが「役に立つ機関車になりたい」と言う言葉でした。

子ども向けの本としてはちょっと異質な感じもしますよね。

しかも機関車は役にたてないとスクラップにされてしまうかもと日々おびえています。

そしてトラブルをうまく解決し、上司であるトップハムハット卿に褒められるとよろこぶ機関車たち。

時代背景までは調べ切れていないので、もしかすると「よき労働者になれ」という意味で書いたのかもしれません。

しかし、個性を認めよう、自分らしさという言葉がひっきりなしに聞こえてくる現状でトーマスを見ると、個性や自分らしさより一番に求められているのが「役に立つこと」なんですよね。

役に立たなかったら窓際族になる、リストラされる、パワハラされる…とおびえる姿は、スクラップ行きを恐れる機関車とちょっと重なります。

 

まとめ

今世間の一部が「成長しよう」と声高に叫んでいて、息切れしそうになることがあります。

昔いた職場では、チーフの役職をもらったアルバイトが「教室全体の職務レベルを上げます」といって夜10時過ぎまで全員を会議につき合わせていました。

仕事のためには仕事時間以外も仕事のことを考えなくてはいけない、という観念に当時のチーフアルバイトもとらわれていたのでしょう。

結局職場のひとからかなり非難されていましたし、退職者もでました。

自発的に成長したい、と願うのはいいですが、成長することや規則を守るようひとに強要する「成長教、成長への強迫観念」はほどほどにしたほうがよさそうですね。

むしろ栄養と睡眠をバランスよくとる方が、人間として成長できると思います。

 

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スガワラ

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