今だからこそ書けますが、大学受験終了後から大学卒業前後くらいまでブラックサバス信者になっていしました。特に初期メンバーに関しては心の中のアイドルのようにあがめていたほどの熱狂ぶりでした。「黒い安息日」のアルバムブックレットに印刷された、ダブルのコートを着て前髪で顔を少し隠し気味なオジーの写真に心臓を射抜かれ、わざわざコンビニの拡大カラーコピーをつかって自作ポスターを自室に貼っていましたね。当時は大学で使うノートやルースリーフをプラスチックのドキュメントケースに入れて持ち運ぶのがはやっていたので、メンバーの写真をコピーして、「ラミネートカバー」フィルムを上から貼って推しのアーティストをアピールしていましたが、ほぼ気づかれることはありませんでした。
さて、ではなぜこんなにもオジーを始めとする初期メンバーに熱狂したのか(今でももちろん好きですよ)ちょっと考えてみます。
ほぼ同時期に活躍したバンドとの違い
私が保育園児あたりから中学生くらいまでUCCのブラックコーヒーテーマソングはディープパープルの「ブラックナイト」でしたし、レッドツェッペリンは追っかけファンについての解説特集が組まれるほど国内では超メジャーバンドでした。ツェッペリンのギタリスト、ジミーペイジさんは年に一回東京西新宿にある洋楽専門ブートレッグ店に現れ、「自分の演奏してるCDとDVDもらうね♪」といって回収に来るほどなので、メンバーも日本での自分たちの人気ぶりは知っています。
その中でもブラックサバス、特に2000年代はなぜか情報が少なく洋書を読むくらいしか情報の手掛かりはありません。レッドツェッペリンのロバートプラントのやんちゃぶりはここでは割愛しますが、滞在先の宿の窓からテレビを投げたといったよくわからないいたずら、貧乏していた時に道路工事の仕事について「ここからここまでの道路は俺が作った!」とインタビューで応えていた記憶があります。ドラマーのボンゾ(ジョンボーナム。漫画のキャラボンゾにちなんでいるそうだが、アニメは未確認)も暴れただのなんだのという破壊神的なエピソードに事欠きませんが、実際はとてつもないホームシックに悩まされ、仕事のために何カ月も妻子と過ごせない状況に参ってしまうほど繊細な心の持ち主でもありました(見た目はごつい髭のおっちゃんなんですが)貧しいけれど陽気に過ごしていた、という印象があります。
対してサバスのメンバーですが、
トニーとオジーの確執
オジーの自伝を読んでいると、たびたび「トニーにいじめられていた」という記述が見えます。そのためトニーアイオミはおっかない方なんだと(失礼!)思っていましたが、オジーのエピソードを見ていると引っかかることも出てきました。
https://www.barks.jp/news/?id=1000165116
ドアを開けたら、スキンヘッドで工場の作業服着て、煙突用のブラシを肩にかけ、靴も靴下もなく片方のスニーカーを犬みたいに引きずった奴がいたんだ。僕のバンドにはピッタリだった…
ギーザーバトラーというベーシストがオジーと出会った時の話です。オジーが貼りだしたバンドメンバー募集の紙をめぐるやり取り。おそらくこのスキンヘッドの男はオジーでしょうが、なぜスニーカーを片足だけ履いていたのか謎です。幼少期の彼の写真を見ると、きちんとスーツを着て革靴を履いていたのですが…(そしてここのエピソードを読んでいて、某短パンをはいた黄色いスポンジ君とヒトデ君を思い浮かべてしまったのは内緒です)
https://rockinon.com/news/detail/116727
また、トニーアイオミがリンパ線種という病気にかかったときも、一見無神経そうな発言をしてアイオミの神経を逆なでしつつも、ちょっと空気が和んだようなところがあるというエピソードが語られていました。
オジーが一方的にいじめられているのだとばかり思っていましたが、同じバンドメンバーのギーザーバトラーに「頭のねじが外れている」と言われていたので、今風にいうと天然と言うか、ちょっと空気が読めないふうなところがあったのかもしれません。
オジーはロバートプラントのように、「金髪の王子様」のようなイメージもありません。たいていDVDで見ていると、マイクスタンドを持って頭をブンブンふっているかぴょんぴょん飛んでいます。同時期のロバートプラントやイアンギランがちょっと気取ってタンバリンをたたいたり、マイクスタンドを中国武術よろしくクールに振り回しているのとはえらく対照的です。
バンドのイメージが黒魔術や恐怖映画のはずなのですが、フロントマンであるオジーはおどろおどろしい演出をしたりもせず(おそらく苦手なんだろうと思います)ひたすらぴょんぴょんはね、なぜか蛙飛びを始め、ステージをのしのし歩いて観客をノリに乗せてしまう。
アマチュアバンド、インディーズバンドのライブ演奏を見にライブハウスへ年5,6回ほど通っていた時期がありましたが、たいていのバンドは「ステージで自分がどうみられるか、どう見せるか、ギターソロでどう見せ場を作り、お客にアピールするか」をしっかり考えています。だからたいていのバンドは緊張する風もなくなれた感じでステージに上がりますし、大学生の学園祭での演奏もまるでプロのような立ち居振る舞いを見せています。
たいていのバンドマンは、プロアマチュアとわず、「どうみられるか」を意識するものです。オジーの自伝にも書かれていましたが、楽器が弾けるわけでもないから、ギターソロなどの間奏時にとりあえずはねたり手をたたいたりしていたということです。
ギターソロのときはステージのはじっこで休んでればいいだろうに、と思いますが、